2015年03月11日

モンゴル語で『阿賀のお地蔵さん』#minamata

絵本『阿賀のお地蔵さん』がモンゴルで出版されることになりました。

モンゴル語訳 阿賀のお地蔵さん.jpg

3月6日の朝日新聞が紹介しています。
新潟)水俣病を伝える絵本、モンゴルへ
http://www.asahi.com/articles/ASH347JJHH34UOHB01M.html

「新潟水俣病を伝える絵本」と紹介されている『阿賀のお地蔵さん』。
阪神大震災を経験した男の子が、引っ越し先の新潟でお地蔵さんに出会い、水俣病について知るという話です。

言葉と絵がいいからでしょうか。
ほろりとさせられます。
そして、心があったかくなります。
私の大好きな絵本の一つです。

今回、『阿賀のお地蔵さん』がモンゴル語に翻訳されて出版されることになった背景には、あの方が、関われていました。
旗野秀人さんです。(新潟水俣病安田患者の会事務局・冥土のみやげ企画)
旗野さんは、故佐藤真監督の『阿賀に生きる』誕生の立役者でもあります。

20140416籏野さん.JPG
旗野秀人さん(左) 
写真は、土門拳賞授賞式で、受賞者の桑原史成さん(右)にお祝いのスピーチを籏野さんがされているところです。詳しくはこちらのブログで→ 土門拳賞授賞式 水俣を撮り続けた桑原史成さんに



旗野さんに、モンゴル語版『阿賀のお地蔵さん』の生まれた背景をお聞きしました。

今から遡ること三年前。
東京国際大学の左治木吾郎教授のゼミから、新潟水俣病について旗野さんと話がしたいというお誘いがありました。それが、どうやら「とことん話がしたい」というリクエストだったので、旗野さんはこの誘いを喜んで受けることにしたのが始まりでした。

「とことん」話をするために、集まった場所は菱風荘
新潟水俣病資料館のすぐ隣にある宿泊施設です。(福島潟もすぐ近く)

ここで、午後の早いうちから夕方まで、みっちり、話をしたそうです。

大学生のなかには留学生も何人かいて、母国の環境破壊や格差の拡大への危機感からか、水俣病について知りたいという彼らの姿勢には、何か迫るものがあったとのこと。
そのことを私に語る旗野さんの口調も気迫に満ちていて、私に訴えてくるものがありました。

その後、ゼミ生たちは、旗野さんとの議論を論文集として完成。出版記念パーティで旗野さんと再会したのが、一年前(2014年3月)。

その場で旗野さんは、絵本『阿賀のお地蔵さん』を、それぞれの国の言葉で翻訳して広めてほしいと言ったそうです。
すると、さっと手をあげて「やります」といったのが、モンゴルの留学生だったそうで、ここからモンゴル語版の絵本づくりが本格的に始まったのでした。

それから一年。
旗野さんもこの間、何度か東京国際大学に出向いて、出版にむけて協力。
そして、ついに3月6日、モンゴル大使館で絵本のお披露目をしたのでした。

阿賀のお地蔵さん.JPG
手前がモンゴル語の絵本。後ろは、日本語の『阿賀のお地蔵さん』です。
モンゴル語部分は、旗野さんからのメッセージ。

お地蔵さんの力を借りて水俣病という重いテーマをできるだけ軽い切り口で、元気の出る絵本にしたい。
こんな無理な注文を震災に遭った神戸の友人わっくんが8年前、見事に軽やかに、神戸と阿賀の風が心に沁みるステキな絵本に仕上げてくれました。

阪神大震災から20年、新潟水俣病公表から50年。そして未曾有の東日本大震災と原発事故。その行く末は母親の胎内で水俣病になった子供や無念のまま逝った被害者と重なります。



モンゴル語の絵本は、すべてモンゴルで印刷、流通できるしくみにしたそうです。
現在、日本にあるモンゴル語版は、現地から持ってきた数冊だけとのこと。

現地では何冊刷るのかについては、正確な数字がわかりませんでしたが、絵本の需要があれば、増刷されるでしょうし、そのために、モンゴルに印刷などの拠点を置いたわけで、一人でも多くの人に、この本と出会っていただけたらと思わずにいられません。

モンゴル語 日本語 阿賀のお地蔵さん.jpg
モンゴル語版(左)と日本語版(右)

なお、モンゴル語版の絵本は、パンフレットのようなつくりで、日本の絵本の装丁とは違います。というのも、日本の絵本のような装丁にしてしまうと、絵本の値段が高くなってしまい、買ってもらえなくなるからだそうです。

新潟水俣病は今年で公式確認から50年。
50年だから、というわけではないですが、何かと新潟水俣病が注目される機会が多いと思います。そんなタイミングで出版にこぎつけたモンゴル語版の『阿賀のお地蔵さん』に、モンゴルと新潟をつなぐ架け橋になってもらいたいです。

すでに、新潟とモンゴルはビジネスの面ではやりとりがあるそうですが、ビジネスでのつながりは、商売がうまくいかなくなったら終わってしまいます。お金でつながっている関係は、金の切れ目が縁の切れ目。もろいものです。

でも、両国が絵本のような「文化」でつながれたら、そのつながりに希望が託せるように思います。

絵本のつながりは、小さくて、ささやかであっても、次の世代へと語り継がれていく可能性があるからです。また、『阿賀のお地蔵さん』という素晴らしい絵本が、読んだ人の心に残らないわけがありません。

阿賀のお地蔵さん4.JPG

20年ほど前の映画『阿賀に生きる』が、2012年にリバイバル上映されたとき、昔映画を見た世代と、今回初めて映画を見た世代が、つながったように感じました。

スクリーンには写っていないところで、映画『阿賀に生きる』は生きていたのだと思います。
映画に何らかのかたちで接点を持った人たちは、ゆるく心のどこかでつながっていたんじゃないか――。
そんな印象を持ちました。

『阿賀のお地蔵さん』にもそんな展開があるんじゃないかと思いました。

阿賀のお地蔵さん3.JPG

阿賀のお地蔵さん




posted by みの at 14:19 | TrackBack(0) | 水俣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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