2014年05月14日

水俣病 大石利生さんの意見陳述 #minamata

大石利生さん(水俣病不知火患者会会長)が、5月13日の参議院法務委員会で、
会社法改正におけるチッソ優遇修正案について、参考人として意見陳述されました。

水俣病をめぐる行政の問題点を、わかりやすく話していただいてます。
特に、以下の点がポイントかと。

● 症状が見えにくいため理解されにくい水俣病の症状について

● チッソが子会社売却で得る益売却を、水俣病の補償救済の財源にすると政府は説明していますが、
このとき得られる財源は一時的なものでしかなく、年々減っていくものであること。
大石さんは、政府のやり方では、新しい被害者がでてきた場合、補償救済ができない点を指摘しています。

● 国が決めた、救済の対象となる範囲が現実と乖離しているため、救済されるべき人が取り残されていること。この点が解決しない限り、水俣病は終わらないということ。

法務委員会_大石さん.jpg
参議院インターネット審議中継からキャプチャー

以下、意見陳述の中継を見ながらの、おおまかな文字おこしです。
聞き間違い等あるかもしれませんので、録画映像をあたってください。


会社法改正では、子会社の株売却につき株主総会の特別決議が必要とされている。ところが水俣病の加害企業であるチッソを適応除外する修正案が衆議院で可決された。これに反対する意見を述べます。

加害者はすべての被害者への補償、救済に最後まで責任におうべき。どうして国会が加害企業であるチッソを特別扱いにして優遇するのですか。どうして国会が、公害加害企業チッソの責任逃れを手助けするのですか。水俣病に苦しみつづける私たちは被害者は絶対に納得できません。

水俣病はチッソがメチル水銀ふくむ工場排水を海に垂れ流しておこりました。激しく痙攣(けいれん)して短期間で死亡にいたる劇症型はよく知られているが、現在の被害者は、手先、足先の感覚がいたみ、感じにくいという症状が多く見受けられる。私の場合は38歳で交通事故にあい、ガラスの破片が足の裏から甲までつきぬけたことがありましたが、痛みを感じず、血だらけの足をみるまで怪我に気づかず平気で歩いていた。他にも様々な症状がでる。

現在の水俣病被害者の生活の一つのイメージはこうです。議員の方も考えてください。
朝起きたときから頭が重い。食事は味も臭いもわからない。よくものを落とす。ころぶ。家事も仕事も失敗する。手がふるえる。口がまわらずしゃべりたくない。ひっこみがちになる。少し疲れるとこむらがえりで激痛。夜は耳鳴りで眠れない。やっと眠れたのに、こむらがえりの激痛で起こされ朝まで眠れない。こういうものです。想像できますか。

外から見ただけではわかりにくい被害かもしれません。しかし今の被害者は水俣病に苦しみつづけている。
胎児性患者の坂本しのぶさんは、本当は健康な身体で生きてきたかった。私は苦しみながら生き続けるのに、その加害者であるチッソは免罪されはればれと生き続ける。こんな不条理は絶対に許せないといっている。これは全ての被害者に共通の思い。

修正案の提案者は、被害者救済と水俣病問題の最終解決を妨げてはならないというが、現実を無視するもの。水俣病特措法は、チッソの子会社の株式を売却をして、それを被害者の補償にあてるしくみとなっている。子会社の株式を売ることで一時的にはお金がつくれる。しかし、被害者補償に回せる金額の上限がきまっている今、未救済の被害者が取り残されている。今後、被害者が補償をもとめても資金不足でチッソからの補償をうけられなくなるおそれがある。これでは被害者救済にも、水俣病問題の最終解決にも逆行することになる。驚かれるかもしれないが、公式確認から58年、まだ被害者は多数とりのこされている。水俣病は終わっていない。

平成22年から特措法の受付はじまったが、不当に切り捨てられた人が多い。検診で症状を認めてもらえず切り捨てられた人がいる。配布資料1ページ目の写真をご覧ください。痛みの感覚の検診で、医者からつまようじを強くつきさされて出血した人の写真。わたくしどもが把握しているだけで20件以上はあった。

検診を依頼する医師は、行政が依頼するわけですが、なかには申請者の感覚障害を疑ってかかる医師もいた。感覚の検査では、手先、足先と胸などの体感を比較する。しかしうちの会員である山本さとこさんのケースでは、医師が比較の検査をしなかった。山本さんは元看護師なんで、おかしなことがわかったんですね。人の命と健康を扱う医者が、あんないいかげんな検査をするなんて許せないと怒っています。

次に、半世紀前の資料をだせと行政から無理強いされて出せずに切り捨てられた方もいる。被害者と認められるには、症状にくわえて、メチル水銀に汚染された魚介類を多食したという暴露要件が必要です。行政が一定の地域を対象地域と定め、そこでの居住歴、生活歴があれば、暴露ありとされるしくみです。ところが行政は客観資料を要求する。客観資料とは、住民票、雇用暦、学齢の証明書です。しかし半世紀前の住民票は廃棄されて残っていない場合がある。引っ越しても住民票を移さなかったケースは昔よくあった。

会員の大野よしみさんは、3歳から6歳まで女島という患者多発の漁村で暮らしたが、住民票を移してなかったために非該当となった。大野さんは、当時同居していた親戚の証言を文章でだしたのに認めてもらえなかった。行政は住民票をうすさなかった親を恨めというのですか、と憤慨している。

会員の77歳のIさんは、30〜32年まで水俣の洋服店に住み込みで働いていた。今では店もなく、雇い主の行方もわからず、雇用証明書をだせす非該当になった。
国は私たちを放置していて、今になって60年前の雇用証明をとっていなかった私が悪いというのですかとおっしゃっています。

対象者が多数取り残されていることが明白な地域、特に天草。配布資料3ページ。地図がついているところ。(地図の説明省略)図で斜線をひいたのが、特措法対象地域。天草は、御所浦、龍ヶ岳だけが対象地域。

従来、行政は、対象地域外というだけで水俣病と認めてこなかった。住民も、対象地域外とされれば、自分が水俣病のはずがないと思い込み、ある方は申請しても無駄だとあきらめていた。

しかし平成21年の民間の住民健診では、天草の住民から水俣病の症状が確認された。手先足先の感覚障害は珍しい症状で、汚染のない住民のなかでは100人に一人いるかいないかというレベル。手先、足先の感覚障害を持つ人が多数みられれば、地域ぐるみのメチル水銀汚染が強く疑われる。

その後、天草の対象地域外から、数百名が、ノーモアミナマタ第一次訴訟の原告となり、平成23年の和解で地域外の7割が救済対象に。その後特措法でも、私どもが把握しているだけでも、地域外の会員のうち数百名が救済対象になっている。被害者のいないはずの地域外から、被害者がでたのを他の住民がみて、救済を求める声がさらに広がっている。

水俣病不知火患者会は、被害者の掘り起し、検診を勧めている。ノーモアミナマタ訴訟では、天草の、倉岳(くらたけ)、河内(かわち)、姫野(ひめの)の三地区が中心でしたが、特措法では、楠浦(くすうら)、親和(しんわ)、栖本(すもと)など沿岸地域一体に申請者が広がっている。

対象地域外の地元自治体も対象地域の拡大を求める意見書をだしている。天草の不知火海沿岸で、対象地域外とされている地域の人口はすくなくても3万人以上。天草での救済は始まったばかり。そのほか魚介類が流通した内陸部。山間部、昭和43年以降に生まれた人の救済が本格化しようとしている。

特措法 平成24年7月に間に合わなかった申請者もいる。過去の差別、偏見の影響で、子や孫の就職、結婚の心配から、申請をためらう人がいる。水俣市周辺の市町村を比べると水俣市の割合が低いのも、チッソのおひざ元であるのが影響しているのではないでしょうか。

県外転出者にも情報が届いてません。高度成長経済のとき集団就職で、中学卒業すると東京、大阪方面に集団就職で移住。その人たちが私たちと同じ症状がでてますが、それが水俣病だということわからない。誰も教えてくれないのが現状。

以上のように、未救済の水俣病被害者が多数とりのこされている。被害者救済が終わる見込みない。水俣病は終わっていないのです。

このようななかでチッソを優遇する修正案は絶対に許せない。国はチッソを優遇して、子会社株式売却を手助けすれば、残されている被害者がチッソから補償を受けられなくなる。水俣病問題の最終解決に逆行する。

加害企業チッソを擁護しても、国の賠償責任は消えません。関西訴訟最高裁判決では国の責任は4分の1。しかしチッソがいなくなれば、被害者が賠償うけられなくなれば、国が全額を負担するようになるのではないか。すべての加害者はすべての被害者への補償をまっとうするべき。私たちは闘いつづけます。

posted by みの at 00:58 | TrackBack(0) | 水俣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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