2010年01月17日

サム・ボッゾ監督インタビュー(下)

映画『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』のサム・ボッゾ監督インタビュー(下)

(上)からのつづき。

bluegold_small.jpg
1月16日より、渋谷アップリンク、ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国順次公開。配給:アップリンク

メキシコの国境近くでの撮影は、番人の買収などもしたと聞いていますが。

その通りです。メキシコのある地域では、川の番人を買収できれば、政府が下水を農業用水に使っているところを撮影できると教えてもらいました。撮影に反対しそうな番人を20分だけ、他のことに気を向けさせるから、その間に撮影をしろというのです。「もし20分を越えてしまったら?」とたずねると、私の体が川に浮かぶだろうと言われました。この瞬間が、私にとって、映画の転換点だったと思います。

メキシコのシーンは映画では4分だけですが、身の危険を感じながら、自分の息子のことを考え、これはちゃんと撮らなければならないと、覚悟を決めた瞬間でした。

他に大変だったシーンはありますか?

ジョアン・ルートというドキュメンタリー映画作家が殺害された現場の写真を、地元の警察から借りてくるようガイドに頼んだところ、青ざめた顔で戻ってきて、今すぐこの街を離れるべきだというのです。

ジョアンは、湖の水がヨーロッパに輸出されているバラの栽培に使われ、湖が枯渇してしまうことに危機感を募らせ、そのことを映画にしようとしていたのです。ガイドは、地元の警察は犯人から賄賂をもらっているから、すぐにここを離れたほうがいいというのです。

映画の公開後であれば、何が起きても、映画の宣伝になるのでいいのですが、撮影中に何かあれば、撮影を中断しなければなりません。私は殺害現場の写真をあきらめ、映画では、彼女が暮らしていた部屋のイメージを代わりに使いました。

ヨーロッパに輸出されるバラのシーンでは、フェアトレードのバラが使われていますが、その意図は?

あの映像は、ロンドンにいるカメラマンに花の映像をお願いしたところ、提供された映像の一つなのです。正直な話、特にフェアトレードを意識的に選択したわけではないのですが、観ている人には、何らかの意味をもたらしているようで、実に興味深い質問です。

「フェアトレード」と聞けば、生産者に公正な賃金が払われているといったことが頭に浮かぶと思いますが、輸入されるバラの背景には、生産地の水を搾取しているという、一種の皮肉があります。儲けるためにバラを輸出し、湖を涸らしてしまっていいのでしょうか。

「フェアトレード」と聞いただけで、思考停止に陥りやすいことに気づかされました。

これは、ペットボトルの水も同じで、健康にいいといったイメージの背景には、水がビジネスとして商品化されている皮肉があるのです。

日本企業の水ビジネスへの参入については

日本の素晴らしい技術を、水の浄化や、マネージメントの改善に提供するのはいいと思います。しかし、水の権利を取得し、巨大な権力を得てしまうと腐敗をまねくでしょう。ですので、技術の供給であれば、問題ないと思います。

水に関して言えば、排出より浄水コストが高いことから、利益追求を優先する企業の場合、浄水のコストカットをするかもしれません。となると、きれいでない水を流すという下降スパイラルを進むことになります。

これから映画を観る人に一言

石油紛争と水紛争の大きな違いは、石油には代替エネルギーという他の選択肢があるのに対して、水には、他に代わる代替品がないという点です。水の確保は生存の危機にかかわる問題ですから、こうした情報はもっと人々に知られるべきだと思います。映画を見た人は、ぜひ周りの人に伝えてほしいです。なぜなら、大衆の意識が、政治的な変化を起こしていくからです。【了】

ライブドアニュースから転載

映画『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』公式サイト

人気ブログランキングへ

posted by みの at 10:17 | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/138530061
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
環境ブログランキングに参加しています。
人気ブログランキングへ
Blog Widget by LinkWithin
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。