2009年04月30日

緊張感漂う環境省の一室

明日は環境大臣をチェク!からの続きです。

 2004年の関西最高裁判決で明らかになった、水俣病事件に対する「国の責任」について(注4)、この法案は一切ふれていない。国の対応を見ていると、チッソと水俣病被害者をつなぐ「仲介者」「仕切り役」としての第三者的な関わり方にしか見えないのだ。取るべき責任をあいまいにしたまま、国は、水俣病事件を終わりにさせようとしているのだろうか。最高裁判決以降、衆議院、参議院、内閣総理大臣、環境大臣は謝罪のコメントを発表したが、その後に続く、国の対応が、大きく変わることはなかった。

 日本弁護士連合会会長・宮崎誠氏は、今回与党が国会に提出した法案について、「本来救済すべき水俣病被害者を取り残したまま、水俣病問題を収束しようとするものであって、むしろ加害企業を擁護するための法案である」と、反対の立場を明らかにしている。

 こうした状況のなか、斉藤環境相を前に患者支援者から「国の責任なんて、この与党案にでてこないじゃないか」と質問されると、タイミングよく環境省の司会者が「そろそろ時間がまいりましたので、ここで終了させてください」と、質疑を中断。すかさず、「話が終わってないでしょう」と支援者が待ったをかける展開となった。

 環境省側の答弁にしびれを切らした支援者の以下の発言が、この場の空気を一気に緊張感のあるものにした。

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斉藤環境大臣に与党案の撤回を求める患者11団体(左)
(撮影:田尻雅美さん)


「大臣は東京工業大学出身ですよね。清浦雷作さんという方、ご存じですよね。彼がやったのはアミン説ですよ(注5)。これと匹敵するくらい、この法案は(水俣病事件を)ごまかしているんですよ。これは、本質をはぐらかしています。きちんと水俣病の本質を見て、解決策を考えてください」

 斉藤環境相はこう回答した。「私は(大学)卒業後、民間企業に入りましたけど、まさにそのときに、科学や技術は誰のためにあるのか、何のために学ぶのかということを、水俣病や、科学界の大御所だった方(清浦氏)が私の大学にいたということに対して、真剣に議論しました。そのことが、その後の私の技術者としての生き方に非常に大きく関係しているということだけは、お話をさせていただきたいと思います。皆さまからのお声を聞きましたので、しっかりと皆さまの声に対して、全面解決にむけて、最終解決にむけてがんばっていきたいということだけ、お話をさせていただきたいと思います」

 この発言の後、大臣は退室した。【つづく】
 ※続きは、患者が救済されない救済法で。

注4:最高裁判決では、国と熊本県の責任が確定している。

注5:清浦教授らが水俣病の原因としてアミン説を発表し、有機水銀説を否定。原因の解明に混乱をきたした。


※この記事は、こちらのサイトに掲載されました。

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posted by みの at 12:56 | TrackBack(0) | 水俣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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