2009年03月08日

映画「遭難フリーター」

生きることに遭難した彼の出口は、何処にあるのか?
岩淵弘樹・23歳。平日は製造派遣大手の日研総業からキヤノンの工場に派遣され、時給1250円での単純労働、週末は憧れの東京でフルキャストの日雇い派遣。不安定な労働環境から抜け出せない彼は、フリーターの権利を求めるデモに参加し、マスメディアの取材を受ける。しかし、テレビ画面に映し出されたのは、ただただ“不幸で貧しい若者”でしかなかった―。
大手レコード会社に就職した友人に自己責任論調の説教を受け、居酒屋でおっちゃんに「あなたは奴隷なんだよ!」と罵られる。「俺は誰に負けた?俺は誰の奴隷だ?」岩淵は、拾った自転車で夜の東京を疾走する。 
公式ページより引用



3月28日 ユーロスペースでロードショー

予告は 公式ページから。どうぞ。音でます。
http://www.sounan.info/

公式ぺ―ジではないページ
http://www.geocities.jp/sounan_freeter/top.html


これから見る人のための基礎知識
監督であり主演の岩淵さんは、大学で映像コースに所属していたのだけど、あまり友人がいなくて、一緒に映画をとる仲間には恵まれていなかったそうです。そこで、自分で自分を撮影することを始めたというわけ。
就職先から内定をもらっていたが、単位不足で留年。内定取り消しに。
その後就職できず、キャノンの派遣社員になったそうです。
日々の葛藤を、雨宮処凛さんらにメールしているうちに、メールの内容がおもしろいから、映画にしたら?ってことになり、映像を撮り始めたというわけ。

映画では、キャノンで働く岩淵さんを、NHKのディレクターが取材。番組は放映されました。ただし、NHKが、キャノンと派遣会社である日研創業へ取材許可を入れるというので、岩淵さんは「それは勘弁」と阻止し、岩淵さんの顔をぼやかして、オンエアーされています。


感想
関東で生活する岩淵さんの実家は仙台。両親も健在。帰ろうと思えば、帰る場所があるフリーター。
しかし刺激が足りない!という理由で、東京に惹かれている。
この映画の編集作業は仙台の実家で行っい、そのために、キャノンの仕事は辞めたそうです。 そして見事映画が完成。

現在は、WEB制作の会社で働く派遣社員。 (2009年1月現在)

「映画を見てもらうことの気持ちよさを初めて知った」と岩淵さん。賛否はどうであれ、すごく気持ちがよかったと。
確かに、NHKで取材されたときの描かれ方は、ディレクターの求めている「派遣社員」像に、演出されていたし。 そのあたりのことを映画では、NHKのディレクターにぶつけている。NHKのディレクター顔だしで、「遭難フリーター」に出演してます。すご〜い。

映画を見た団塊の世代からは、怒られたそうです。
その理由は、なぜ(会社と)戦わないのか!だそうです。

日本の大学生からは、「岩淵さんのようにならないようにします」と、微妙なコメントが。
映画では、岩淵さんの大学の同級生で、正社員としてバリバリ働いている人にも取材。
戦略的に就職活動をした友人は、そこまでやっていたのか〜!と、驚くと思います。(少なくとも私は驚きました)(苦笑)

渋谷でのデモにも参加した岩淵さん。
デモをやったって何も変わらないよね、という批判もあるけど、岩淵さんが紹介した、ある高齢の女性の発言は重いです。

「デモをやる目的は、何かが変わる、変わらないだけじゃない。
自分たちの主張を表現することが重要なのです」


岩淵さん、映画上映後のトークでも、すごく腰が低かったです。
きっと、映画を見た人から、嫌なこと、たくさん言われたんじゃないかなと同情しました。エールをおくる人もたくさんいると思いますけど。

私は彼はすごいと思います。
個人の問題を、映画にし、書籍にし、「社会化」してるわけだから。

個人の抱えた問題は、公に共有されなければ、彼の周りの数人にしか共有されない。
その問題が社会性をおびていても、共有されなければ、記録にも残らない。(少なくとも、搾取される側の視点での記録は)
映画という代替な方法を選択し、赤裸々に自分の生活を描くことで、彼の問題は社会化(共有化)されるわけです。

帰る場所があるフリーターである彼のことを批判する人がいるけれど、親元離れて自立することの難しさ。それを可能にしてくれる労働環境の少ない現状こそが、問題視されるべきだと思います。

映画は賛否両論、いろいろな意見が飛び交っていますが、そうした議論のたたき台として、立派に「遭難フリーター」はなっていると思いました。


試写会でのトークから

23歳の男性の生活を淡々とカメラに収めた作品。
自分で自分を撮影しまくり。
なのに、「全然エロいシーンがないのはなぜ?」
と、見た人から言われたそうです。

岩淵監督の答えは
「エロい部分は、全部、書籍版「遭難フリーター」に詰め込んでますんで、 こちらを読んでもらえると嬉しいです!」 とのこと。

本の内容は、携帯で映画アドバイザーの雨宮処凛さんや、プロデューサーの土屋豊さんにメールしていた日常の出来事や、ブログに書いていたことが掲載されているそうです。

ご本人は今年1年は、映画の上映が各地で行われるなど、映画関連で大忙しになるそうで。 それはそれでいいのだけど、今後も映画を続けるかわからないそうです。

取材でよく聞かれるのは「次はどんな作品を撮りますか」だとか。
そこまで映画界でやってくぞ!という決断はしていないそうです。

(某ニュース番組によると、テレビの制作会社でADとして働くことが決まったそうです)


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posted by みの at 15:49 | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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