2015年03月30日

水俣病被害者団体に対する環境省の対応に問題あり 

ここ数日気がかりだったのが、3月25日、参議院議員会館で行われた「水俣病問題に関する院内集会です。

20150325院内集会.JPG

23日に新潟水俣病三次訴訟の判決が出た直後ということもあって、新潟テレビ21のカメラが取材に来ていた以外に、テレビ局の取材はなく、新聞社は確か二社(社名不明)のみという、マスコミの取材率は低かったです。

この院内集会には、水俣病の患者・被害者団体のほか、環境省から3人、超党派の議員による「水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会」のメンバー11人が出席していました。
これほどの数の国会議員の方々が顔を会わせる場に、記者の数が少ないのはどうしてなのか考えつつ、あまりにも「院内集会が開催された」という事実が知られないまま、物事が進んでしまいそうな危機感もあって、私のつたない報告でも、ないよりましだろうと、書かねば、書かねば、と思っていた次第です。

その日のうちに、速報的な内容ですが、togetterにまとめました。



院内集会に出席した議員のツイートや、公式サイトを見て、関連するコメントがあればリンクしましたが、そうした発言のある議員は少数で、ほとんどの議員が院内集会については触れてないというのが現実でした。

ということで、院内集会に出席した議員は以下のとおりです。

大島くすお 民主 比例
後藤 祐一 民主 神奈川6区 元経産省官僚
田島 一成 民主 比例近畿
吉田 忠智 社民 比例
島津 幸広 共産 比例 東海
藤野 保史(やすふみ) 共産 比例 北陸信越
真島 省三 共産 九州
黒岩 宇洋(たかひろ)民主 新潟3
菊田 真紀子 民主 比例 北陸信越
仁比 聡平 共産 比例
川田 龍平 維新 比例
辻元 清美 民主 大阪10


この11人以外にも「水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会」(連絡会)に名を連ねている議員はいるとのこと。
例えば、院内集会と同じ時間帯に、総務委員会に出席していた、社民党の吉川はじめ議員(比例九州)は、今回は欠席。いつも水俣病関連の院内集会には出席されている方です。

約1時間にわたる 被害者・患者団体、環境省、国会議員の意見交換では、水俣病が未だに「解決」していない現状の訴えに対して、動くべき環境省の対応が不誠実である点が浮き彫りに。

ここで、超党派の国会議員による連絡会の出番です。
連絡会の名前のとおり、「水俣病被害者とともに歩む」議員連絡会ですから、こうした要望に対して、環境省に誠意ある対応するよう、集会に出席していた環境省の職員に要請しました。

と、書くと、なんだか、淡々と集会が進んだように思えてしまいますが、実際のやりとりは激しかったです。

ここで問題にあげられている環境省の対応というのは、一ヵ月ほど前の2月12日のこと。
「ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議」のメンバーが上京し、環境省に要望書を渡した際の、環境省の担当者の対応と、その後の対応のマズさのことです。

環境省の会議室に、イスに座りきれないほどの人が集まり、立ち見も数人いるなか、環境省の担当者二名が会議室に入ってきて、まずは、全国連絡会からの要請書を受け取ったそうです。

通常ですと、この後、着席して、要請書の中身について確認したりするのです。

ところが、この日の環境省の二人は、立ったまま、決して座らなかったというのです。

その場にいた人の話によると

「環境省の二人の女性は、イスに座ろうとしないので、話をするような状態にならなくて」

水俣病の担当者というと、役職の上のほうから補佐まで男性ばかり。
女性もいらっしゃるかもしれませんが、これまで私が立ち会った交渉の場は、全員が男性か、何人かのうち一人だけが女性といったことがありましたが、今回は環境省から会議室に派遣されてきたのが、二人とも女性だったというので驚きまして、

担当者の二人は、今回は二人とも女性だったんですか?

と思わず、再度確認。

「はい。肩書きは、なんとか調査係長といったかな」

それで、彼女たちは、立ったままで座らないで、どのくらい話合いをしたのですか。二時間くらい?

「いや、そんな長くなかったですよ。一時間弱くらいだったかな」

一時間未満だったんですか。そうだったんですか…。

ということで、せっかく、熊本や新潟から上京してきたのに、一時間も話をしないで終わったときいて、これはどういうことなんだろうとますます驚いてしまいました。
座らないということは、話し合わないという作戦だったのかと、考えてしまいます。

その日感じた口惜しさを、大石利生さん(不知火患者会)は、次のように院内集会で語りました。

「2月12日に、望月環境大臣あての要請書を渡したときに非常に腹が立ったことがありました。
私たちの対応をした彼女に、水俣病の症状を知っているのか聞いたところ、自分の言葉ではいいきれなかった。それで、(もう一人の環境省の)女の人に教えてもらって、(水俣病について)足のこむらがえりとか、そういうような答えしかしきらんのです。
それが、新潟、熊本から来た私たちに対する対応ですか」

「(環境省は)どういう指導をしているのでしょうか。水俣病の問題すらこたえきれない人に、なんとか係長とかいう肩書きをつけて。そのとき、(女性の上司にあたる)あなたたちはどこにいたのですか。
私たちは、水俣から半日かけて上京し、せっかく環境省に話を聞いてもらえると思っていたのに、そういう態度をとること自体がおかしいと思う」

「そのとき対応した(女性の)係長に、要望書に対する返事をくれと、文書で回答せいと要請しましたら、上(の者)に伝えるといったが、上からの回答もない。ただ、聞きぱなし。それがあなたたちのつとめですか。
私は本当に腹がたって、寝ることもできなかった。人の痛みのわかる行政をやってください」


この一件は、国会議員の耳にも入り、

「環境省の対応を聞いて、びっくりした。水俣病の基本も知らないような対応が散見されて。
これは一体、どういうことなのか。この話が国会で広がっている」と辻元議員。
「軌道修正して、対応をしていただきたい。議員からの要請です」
と、環境省の三人に釘を指す一幕も。

この場には、水俣病の担当部署、特殊疾病対策室の室長の姿はなく、
代わりに集会に出席した長谷川学室長補佐(特殊疾病対策室)が、質問に対応。

会場からの質問)
今日、あなたたちをここのよこした責任者は誰ですか。室長の判断ですか。

長谷川氏)
本日につきましては、このなかで、お互いに話をして決めたことで、そのなかで対応できる人間が来ている。

会場)
国会議員が呼んでも、責任者はでてこない。そういう判断をしたわけですね。

菊田議員)
政務三役は(この件について)判断されていますか。

長谷川氏)
部内の判断ですから。

菊田議員)
部内じゃなくて、政治家はそれを承諾しているんですか。政務官にはあがっているんですか。

長谷川氏)
政務官、副大臣には、(今日の集会について)誰が対応するかに関しては説明していない。

大島議員)
政務官、副大臣は、この会議(院内集会)があること自体知らないでしょ。

長谷川氏)
国会関係の各種委員会、部会については、政務三役、秘書官ふくめて、情報入ります。
ご本人に(情報が)入ってるものもあるかと思いますが、全てがどうかは定かではない。


ということで、院内集会については、大臣、副大臣、政務官には伝えていないことがハッキリ。
ちなみに、問題になっている2月に渡した要望書の宛先は、望月環境大臣宛てです。


仁比議員)
2月の件、水俣病がなんたるかわかっていなかったその人が、(要請書については)上に報告する、文書での回答については、もちかえるといった。どうなっているのでしょうか。
今日のことを、長谷川さんは、上に報告するというけど、伝書鳩ですか。そんなことが求められているんじゃない。被害者の要求に応えていただきたい。

長谷川氏)
要望書を2月にいただいている。そのときの状況に応じて、患者の方々と私レベルではなく、上のレベルでお会いしているケースもあるかと。6月の総行動デーの要望ですとか、そういう場で、今回の要望についてもお話する機会もあるかと。


ここで、会場から「話が違うだろ」のブーイングが。
長谷川氏が、突如持ち出してきた「6月の総行動デー」の話は、2月の話と関係がないからです。
毎年6月に、公害被害者団体が環境省に申し入れをしていて、そのときには「上のレベル」の担当者と会っている話は、唐突ですし、もし、2月の要請書について、6月に「上のレベル」の担当者が回答すると考えていたとしたら、それは患者被害者を4か月も待たせることになります。待たせることの罪深さに無関心だからこそ、こういう発言ができてしまうのでしょうか。



会場)
環境省が文書で回答するっていって、なぜ回答しないのか。文書で回答しなさいといったら、(環境省の担当者は)上司に伝えると、わかりましたといったんだから。いくら係長だろうと、わかりましたといったら、(返事を)返さなくちゃいけないだろうが。なんで返さないの。

長谷川氏)
要望書については……

会場)
要望書じゃなくて、回答すると係長が明言したこと。だから我々は待っている。それ知っていると?

長谷川氏)
そういう話があったことは承知します。

仁比議員)
だったら回答しなくちゃ。

長谷川氏)
それについては、ちょと今持ち帰って相談させていただいて……

大石氏)
ふざけるな。あんたたちのやりかたは……

長谷川氏)
この場で回答するということに対しては……

会場)
なぜ回答しないのか聞いている。

長谷川氏)
ですから、回答する場というのが、文書でするのか…

会場)
文書って約束したんだよ。係長が。

長谷川氏)
約束した話までは承知してませんので、今、お話し聞かせていただきましたので、確認させていただき、あらためてご連絡させていただく。

会場)
あなたが上司に伝えるっていっても、信用できない。
伝えたけど、文書では回答できませんって、連絡がくれば納得するんですよ。
あれから、長谷川さんからも、小林室長からも何も連絡がない。そんないい加減な対応ってありますか。

長谷川)
こちらの行き違い申し訳ない。改めて、戻りまして、相談して……

会場)
ちょっと待ってくれ。これ、行き違いで済まされる課題なんですか。
僕らは要望した。その係長は返事をした。そしたら省庁内で行き違いがった。許されるの。謝罪しなさいよ。

菊田議員)
今、(2月のときに担当した)係長さんは何をしているのですか。本庁にいるですか。他の会議にでているの?なんで来れないのですか。回答をもってこなくちゃ。その経緯をわかっている担当者はその係長でしょ。今、何しているのこの時間帯。

長谷川氏)
いや、仕事をしていると思いますけど。 

会場から失笑。

会場)
行き違いについて謝罪しろ。

長谷川氏)
大変申し訳ありません。

会場)
いつまでに回答するの? あらためて文書だす日を決めなさいよ。

長谷川氏)
文書をだすかどうかもふくめて、あらためて回答させていただく。

会場)
ちがうよ、文書だすと(環境省が)いったから、我々はその日の交渉やめたんだよ。

長谷川氏)
そうした回答したことをおわび申し上げます。

会場)
えええ(長谷川氏が、文書による回答に否定的な態度をとったので、会場は驚きの反応)

長谷川氏)
あらためて相談させていただきます。

会場)
だから、無責任な人を担当者にしちゃいかんと、国会議員の先生たちがいっとるわけですから。責任ある立場の人間が出ないからそうなるんでしょ。無責任きわまりないですよ。

仁比議員)
国民が政府に対して要望する。具体的に文書で項目を出している。この項目に書いてあることは、政府に認識がない問題だとは思わない。一つ一つ、環境省は見通しをもっているはず。この要望に、今日、一切答えないという態度、これはちょっと一般的にあり得ないのではないか。
水俣病問題についてはこたえないのか。

今日(の院内集会に)臨むにあたって、(特殊疾病対策)室なり(環境保健)部として、この問い(要望)に対する答えをもっているはず。それを答えないのなら、対話は成立しない。被害者に答える気がないのですか。これ、絶対におかしいですから。

この要請書を、私や連盟で質問主意書として出したら、(環境省は)絶対に答えるでしょ。対応しないなんて、ありえないですから。


と問い詰めていくなかで、時間切れに。

最後に発言した議連会長、辻元議員の発言を整理すると、

1)ことの発端は前回の環境省の対応。しかる人が対応していれば、文書による回答が来て、話が進んでいくところ、水俣病のことをよく知らない人が対応したことで、今の状態に至る。環境省は同じ過ちを繰り返してはいけない。(つまり、責任ある役職者を出席させること)

2)2月に対応した係長には、次の集会なり交渉の場には来ていただく。

3)環境省には、文書で回答していただきたいと議連は考えている。

4)政務三役にも(水俣病に)認識をもっていただくよう、議連から申入れをする。


という4点が、環境省に対して要請および提案されました。

20150325院内集会2.JPG
環境省の三人(左奥)に、「大丈夫ね」と確認する大島議員(手前)


国会議員の介入がなければ、環境省は2月12日の要請書については、無視を通したのかもしれません。
議員連絡会の議員が、この場に立ち会ってくださったからこそ、環境省の3人は、書面で回答することを含め、議員からの要求、提案にうなづいたのでしょう。

しかし、ここまで話がまとまる間のやりとりを見ていて、本当にあきれるほど信頼できない環境省の対応に、私も驚くばかりでした。
国会議員の目の届かないところであれば、患者被害者団体との約束は、簡単に破られてしまうものだということ。
そのことを追究しても、論点をずらして回答したり、この場での回答は控えさせていたく、上に伝えるといって、その場しのぎの回答だけをして、後のフォローアップは一切しないという嘘まみれの対応。

環境省が「上に伝えて、改めて回答する」と、期日をもうけない「約束」をするたびに、『患者さんたちと、環境省の人たちの間に流れている時間の重さは違うのに』と、心が痛みました。
そのことに無自覚であるからこそ、いとも簡単に何事も先延ばししてしまうのでしょう。

環境省が信頼される省庁になるまでには、相当の努力が必要です。
その道のりは遠く、環境省はスタート地点にも着けていないように見えます。
もしかすると、スタート地点には、あえて行かないようにしているかもしれません。

これ以上、水俣病の被害を受けた人たちを苦しませないでください。









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2015年03月29日のつぶやき






































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