2013年11月06日

続・カナダ水俣病 報告交流会 #minamata

以前、9月13日に東京で行われた「先住民の証言 カナダ水俣病報告交流会」の写真速報を掲載しました。
今回は、同交流会の詳細です。

カナダ製紙工場の水銀汚染
カナダ・オンタリオ州を流れるイングリッシュ・ワビグーン川の流域にある先住民族居留地、グラッシー・ナロウズとホワイトドッグ。この二つの居留地の先住民に、感覚障害や視野狭窄などの神経症状が見られることを原田正純医師が確認したのは1975年のことだった(発表は1976年)。

原因は、居留地を流れるワビグーン川水系の約200km上流に位置するリード社の製紙工場(ドライデン市)。

漂白に使う苛性ソーダの触媒に使用した水銀を水系に排出。水銀は環境内で有機化し、食物連鎖により魚介類に蓄積。それを摂取した住民の間に水俣病が発生したという。
しかしカナダ政府は、水銀汚染は認めても、水俣病が発生していることは認めていない。

カナダへ帰国前の東京で
この報告会は、熊本学園大学が熊本・水俣で主催した「環境被害に関する国際フォーラム」に招聘したカナダからの参加者を囲んで、帰途の東京で設けられたものである。

グラッシー・ナロウズからはジュディ・ダ・シルバさんが来日。参加予定だったホワイトドッグからのパメラ・マンダミンさんは、体調不良により急遽帰国、話を聞くことはできなかった。
報告会には約50人が参加した。環境省の水俣病担当の官僚の姿もあった。
 
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日本語通訳つきで報告会

カワウソの水銀値
祈りの言葉をつぶやいてから、ジュディさんはポツリポツリと、話し始めた。
「1997年、カナダ厚生省の医者が私たちに、川に水銀は含まれていないと言いました。最初は信じましたが、知り合いの看護師が、それが真実ならば、どうしてスポーツフィッシングをしにここへ来る人たちには、魚を食べるなと言っているのか、と質問したのを聞いて、これは疑ってかかるべきだと考えました」

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ジュディ・ダ・シルバさん 

ジュディさんたちが独自に行なった調査では、カワウソの肉からは、カナダ厚生省による許容水銀値の40倍が検出された。

「私たちはカワウソは食べませんが、この数値から、どれほど水系が汚染されているかを知りました。水銀の垂れ流しは1970年代に禁止されたのに、未だに水銀値は高いのです」

ジュディさんの食生活は、街で買う牛肉や鶏肉と、森からの鳥や鹿と、川魚の「ピケラル」(カワカマス科の小魚)で成り立っている。ピケラルの水銀値は高いが、ジュディさんは食べ続けるという。

「なぜって、ピケラルは私にとって文化であり、伝統であり、大切な存在だから。この魚を食べることを諦めることより、汚染をなくすことが大事なのでは」
ジュディさんの顔の左半分には感覚がない。身体バランスの崩れ、めまいがあるという。

「認定基準」を輸出した日本
花田昌宣氏(熊本学園大学教授)は、日本の水俣病認定基準が、そのままカナダで使われていると説明した。

「カナダの(生活保障給付の)認定基準には腱反射の低下が入っているが、これは日本の2004関西訴訟最高裁判決で否定された末梢神経損傷説による基準。それがそのまま導入されている。カナダ政府は原田先生の診断書を認めていない。原田先生がいう『差別のあるところに公害が起きる』の典型といっていい」

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花田昌宣さん

ジュディさんたちと共に来日した支援者、ソア・アトキンヘッドさんによれば、原田氏がグラッシー・ナロウズで開いた記者会見では、米国のメイヨクリニックの医者が原田氏の発言は真実でないとコメントをしたという。

「原田医師の信頼をおとすためでしょう。その人は、水銀の専門家ではなく神経科の医者でした」
 
メイヨクリニックはカナダでも知られた有名な病院で、新聞でそこの医師のコメントを読めば、「原田先生のことを知らないふつうの読者は、メイヨクリニックの医者の発言が正しいと受取ってしまう」とジュディさんはいう。

参加者からの質問
Q 苛性ソーダは現在も使われているのか。
ジュディ:1970年頃、触媒に水銀を使うのをやめている。今は別の有害な代用品が使われている。

Q (水俣病として)認定されているのは何人?補償金は誰が払っているのか?
ジュディ:水俣病認定はゼロ。リード社がコミュニティ全体に対して補償金600万ドルを払った。現在リード者は買収されて、別の会社が運営している。

花田:1986年に会社と州政府、国で「水銀障害委員会」を設立。水俣病に似た症状がある人に、毎月250〜800ドルが払われている。償いの金ではなく、生活保障(福祉)としての支給で、グラッシー・ナロウズで約150人、ホワイトドッグで約100人が受給している。

Q カナダ国民の意識は?
ソア:水銀のみならず、化学物質に環境が汚染され苦しんでいる先住民は多数いる。環境問題に人種差別があることをカナダ国民は認めていない。これを認めさせるのは難しい。よって、補償を勝ち取るのは夢の夢だ。
政府は2005年、イングリッシュ・ワビグーン水系で商業目的で獲った魚(3000ポンド)を、水銀値が高いと全廃棄させた。なのに、ジュディたちの身に起きている健康被害は認めない。ダブルスタンダード以外のなにものでもない。

Q 住民の症状は「ケネディ病」と診断されることがあるというが、水銀中毒症として認識されているのか。
ジュディ:ケネディ病と診断した人物は同時に、この患者はアルツハイマーだとか、痴呆症、多発性硬化症じゃないかというが、決して、水銀中毒とは言わない。

ピーター・カウチスキ(マニトバ大学教授):政府は水俣病の発生を認めていないので、医者の診察には水俣病かどうかのテストはない。医者はこの地域にほとんど診察に行かないし、まれに行く医者がいても、水俣病を知らない医者だ。
メディアが報道していた時期もあったが、現在は終わった問題扱いだ。

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カウチスキさん

終わりに
花田氏は、急遽帰国されたパメラさんが原田氏を最初にホワイトドッグに受け入れてくれたチーフの娘であること。また、ジュディさんの父親は、水銀問題にとりくんできた偉大なチーフであることが紹介し、「(カナダの水俣病も)二代目の闘いかな」と話した。

集会主催団体の東京告発の久保田好生氏が「初めてカナダの被害民が最初に東京・新潟・水俣を訪問してから38年が経つが、未だに日本もカナダも水俣病が解決しておらず心が痛む。しかし、何度も繰り返されてきたあいまいな決着で終わらせず、運動を継続してきた素晴らしい面を水俣の患者さんやカナダの皆さんから教えてもらった」と閉会の挨拶をし、水銀の入っていない寿司(食品サンプルのマグネット文具)をジュディさんたちにプレゼントした。

20130913カナダ水俣病whole.JPG

・・・・・・・・・・・
以上、『季刊水俣支援』67号に書いた原稿を転載。

原稿を書きながら感じたのは、カナダ水俣病について語るときは、カナダ政府がいうところの「認定基準」については、必ず、“生活保障の受給者認定”のことであり、水俣病認定とは無関係であることを、明確にするべきだということ。

ジュディさんは「認定患者」だが、その意味するところは、認定され、毎月、生活保障をもらっているということで、水俣病認定患者とは無関係。

日本では、 認定=水俣病患者 を意味するが、
カナダでは 認定=生活保障受給者。
カナダ政府は、カナダに水俣病患者がいることを認めていない。

↓ この本の第七章に「カナダ先住民の水俣病と受難の社会史」あり!


ドキュメンタリー映画「カナダ水俣病と先住民」
英語版です。you tubeに、続きがアップされています。


posted by みの at 01:22 | TrackBack(0) | 水俣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月05日のつぶやき







※↑私は朝日ドットコムに登録をしていないので、記事の全文が読めてません。
もしかしたら、スイスの新聞記事以外にも、くまモンを冷ややかに見ている人(やメディア)が紹介されているのかもしれませんが…
ご存知の方、教えていただけると嬉しいです。



20131006スイス新聞.JPG
posted by みの at 00:01 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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